音響マン

名古屋在住の音響マンのつぶやき

声優『子安武人』の魅力とハマリ役

子安武人さんはティーズファクトリー代表取締役も務める声優と経営者を両立しているエネルギッシュな人物です。デビュー作は1988年放送の「どんどんドメルとロン」でその1年後の1989年には「天空戦記シュラト」で夜叉王ガイ役を掴みました。

当時の声優業界はまだ黎明期で人手不足だったとはいえ、デビューからわずか1年で人気アニメのレギュラーを掴めたのは子安さんがいかに傑出した才能の持ち主であるかを物語ります。

代表作は「新機動戦記ガンダムW」のゼクス・マーキス、「∀ガンダム」のギム・ギンガナム、「ジョジョの奇妙な冒険」のディオ・ブランドーなどがあげられます。
共通するのは演じた役の多くがカリスマ性にあふれた悪役であること、子安武人は熱血漢で仲間思いの主人公よりもそんな正義の味方の前に塞がるライバルの役が似合う男なのです。
艶のある蠱惑的な声質も人気の秘密で、主人公の女性をめぐって多くのイケメンが求愛を申し込む乙女ゲームや男性キャラクター同士の情愛をテーマにしたボーイズラブ作品にも多数出演しており、これまで多くの女性ファンを熱狂させてきました。

無類の創作好きであるというのも子安武人さんの特徴です。
元々は映画俳優志望で学校に行かずに映画ばかり見ていた映画狂、声優業のかたわら小説を執筆し出演したゲームは一通りプレイすることでも有名です。
現在では声優はアイドルにも匹敵する花形職業で、多くの若者が子供の頃から好きだったアニメやゲームの世界に憧れてこの仕事を志望しますが、子安さんがデビューした1980年代はまだまだ日陰の存在で「俳優になれない人間がやる仕事」という扱いでした。
ナレーションなどに比べてアニメの仕事を一段低く見る役者も多かったそうです。
そうした時代にあって自分が愛するものに関われるという喜びを仕事の情熱に繋げてきたことで、子安武人という偉大な役者が数十年にわたり多くの人に支持されてきた理由ではないでしょうか。