音響マン

名古屋在住の音響マンのつぶやき

イコライザーを調整するためのテクニック

イコライザーとは音楽や音声などの音に含まれる成分を、周波数ごとに強めたり弱めたりするための機能です。

 

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身近なものであればWindowsパソコンに標準でインストールされているWindows Media Playerにも、この機能が付いています。他のパソコンまたはスマートフォン用のプレイヤーアプリにも同様の機能が付いています。音楽を聴く場合や動画を視聴する際などに音質の調整を行うことで、より快適に視聴することができるようになります。


パソコンやスマートフォンのプレイヤーアプリに搭載されているイコライザー機能を利用すると周波数ごとに強弱を調整することができます。対応する周波数の範囲は20Hz~20,000(20k)Hzです。一般的に人間の耳で聞くことができる周波数の範囲は40Hz~20,000Hzであると言われています。

 

ただし、20,000Hz付近の高周波は音楽家などの特別な訓練を受けている人しか聞き分けることができません。40Hz以下の超低周波もほとんどの人は聞くことができません。このため一般の人の耳で聞くことができる周波数の範囲はもっと狭くなります。


イコライザーを利用して音質を改善する一番簡単な方法は、高音域または低音域のどちらかを下げて、もう片方の領域を上げることです。例えば全体に音がモコモコした感じであれば低周波を下げて高周波を上げることができます。逆に全体に甲高くて不快に感じる場合には、高周波を下げて低周波域を上げれば改善します。単純に高周波または低周波のみを上げ下げする以外にも、音質を良くするテクニックが存在します。


趣味などで音楽を制作したり演奏してデジタルデータの形で記録する場合でも、イコライザーを利用して音質を改良することができます。音質を調整するコツは、上げるよりも前に不要な部分を下げるまたはカットすることです。

 

音質を改良する際はブースと(上げる)方に注意が向いてしまいますが、デジタルデータとして処理をする場合には不必要な音を削除することが大切です。

 

不要な音をカットするテクニックですが、人間の耳には聞こえない超低周波領域(40Hz以下)を全て取り除いてしまう方法があります。超低周波の音は人間の耳には聞こえませんが、コンピュータは出力しています。

もしも音源のデータに超低周波領域の信号が含まれていると音圧を上げた場合に支障が出てしまう恐れがあるので、カットするようにしましょう。人間の耳で聞くことができる領域でも、特定の周波数を弱めるまたはカットすることで音質を改善する方法があります。

 

音楽にはさまざまな周波数の音から構成されていますが、無意識に人が不快に感じる音も含まれています。不快に感じる音域を探す方法ですが、実際に音声を聞きながらひとつずつポイントのつまみを上げてみます。周波数ごとに特定の音域の強度を順番に上げて行くと、耳障りに感じられるポイントが存在します。不快に感じる周波数の強度を下げておくことで、スッキリとした感じに仕上がります。

 

不快に感じる周波数は1つとは限らず、数箇所を下げる必要がある場合があります。

 

ギラついた(甲高い)音が不快に感じる場合には、10kHz~20kHzの高音領域にある特定のポイントを下げれば改善することがあります。ボーカルの子音を押さえたい場合には6kHz~12kHzの領域を少し下げる事ができます。全体にタイトにしてキレを良くしたい場合には、250Hzを下げてみると良いでしょう。


人間の耳で聞き取ることができない超低周波や不快に感じる音をカットしたら、次はポイントを上げて個性的な音に仕上げるように調整することができます。音楽であれば楽器の種類ごとに得意・不得意な音の領域(周波数)が存在します。

 

簡単な方法は音楽を再生して聞きながら周波数ごとにポイントを上げてみて、音に透明感が感じられる場所を見つけることです。このようなポイントを上げることで、クセや個性を持たせることができます。

 

ボーカルが含まれる場合には人の声の波長領域である1kHz~4kHzに注目します。この領域に含まれる特定のポイントを上げることで、声の特徴を感じ取れるような音質に仕上げることができます。


音源ごとに特徴が違うので、イコライザーで上げ下げするポイントも異なります。どのような音源であっても調整を行う際の基本は超低周波音や不快に感じるポイントをカットして不快感を取り除くことと、個性を出す目的で特定のポイントを上げることです。いずれにしても、実際に聞きながら細かく調整することが大切です。

 

最初は難しく感じられる場合がありますが、試行錯誤を繰り返すことで慣れてきます。

 

最近は自分で撮影・録音したビデオや音楽を簡単にインターネット上にアップして他の人と共有することができます。コンテンツをアップする際にイコライザーを使用して音質を改善しておくことで、より多くの人に視聴してもらえるようになるでしょう。